下痢とは
下痢は、便が通常よりも頻繁に排泄され、軟便または水様便が排出される状態を指します。
一般的に、下痢は消化管の動きが速くなり、便が十分に水分を吸収する前に排泄されることによって発生します。
下痢は通常、急性下痢と慢性下痢の2つのカテゴリーに分けられます。
下痢の種類
下痢は、大きく以下の4つに分けられます。
分泌性下痢
分泌性下痢は、腸内からの過剰な液体分泌が原因で軟便または水様の便が発生する症状です。
通常、腸内の水分は吸収され、便が適切な粘りと一般的な形状を維持します。
しかし、分泌性下痢では、この水分吸収過程が正常に機能せず、腸内からの過剰な液体分泌により便が軟らかくなります。
浸透圧性下痢
浸透圧性下痢は、便中に溶解した物質の浸透圧(水分を取り込もうとする力)が高く、それによって水が腸内に引き込まれ、水分の過剰な摂取が原因で便が軟らかくなる病態です。
通常、腸管内の浸透圧は平衡を保ち、水分は吸収され、便が通常の形状を維持します。
しかし、浸透圧性下痢の場合、便中に吸収できない物質が存在し、これによって水分が腸内に保持されます。
運動亢進性下痢
運動亢進性下痢は、腸管内での分泌過程が亢進し、正常な吸収機能とは逆に、腸管からの水分や電解質の分泌が増加して水様の便が排泄される症状を指します。
この症状では、腸管の運動(蠕動運動と言って、便を肛門へ運ぶ働き)が過剰に亢進し、便の通過スピードが速くなり、水分の吸収が不十分となった結果、起こります。
運動亢進性下痢は、特定の疾患や病態によって引き起こされることがあります。
滲出性下痢
滲出性下痢は、腸管内で炎症や組織損傷が発生し、それによって粘液、血液、膿などの異常な物質が便中に滲出する結果、軟らかいまたは水様の便が排泄される症状です。
滲出性下痢は、通常、感染、炎症性腸疾患、消化管の潰瘍、腫瘍、および他の内科的な病態に関連して発生します。
下痢の症状
下痢の主な症状は、以下の通りです。
- 軟便または水様便の排泄
- 頻繁な腹痛や腹部不快感
- 脱水症状の兆候(嘔吐、脱水、倦怠感)
- 下痢に関連する他の症状(例:発熱、血便)
脱水症状は特に注意が必要で、重篤な状態に進行する可能性があるため、速やかな医療対応が必要です。
下痢の原因
下痢の主な原因は、以下の通り。
感染症による下痢
感染性下痢は、細菌、ウイルス、寄生虫による感染が原因で発生します。
不適切な食事、感染症の拡散、不適切な衛生状態が感染のリスクを高めます。
食物中毒や食品過敏による下痢
食品中毒や食品過敏反応によって下痢が引き起こされることがあります。
汚染された食品を摂取することが原因であることが多いです。
特定の飲食物や食品成分
ショ糖不耐症(乳糖不耐症)、ソルビトール摂取、人工甘味料(例:マルチトール、キシリトール)、食物アレルギーなど、特定の飲食物や食品成分が浸透圧性下痢を引き起こすことがあります。
薬物や抗生物質の副作用による下痢
一部の薬物、特に抗生物質は、腸内細菌叢に影響を与え、下痢を引き起こすことがあります。
慢性疾患による下痢の原因
過敏性腸症候群、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)、腸内細菌叢の不均衡など、慢性疾患が下痢の原因となることがあります。
下痢の一般的な治療法
下痢の一般的な治療法には、以下のようなものがあります。
水分補給と電解質のバランス
下痢に伴う水分喪失を防ぐために、水分と電解質(ナトリウム、カリウム)の補給が重要です。経口補水液を摂取するか、水と食物でこれらの栄養素を摂取しましょう。
薬物療法
薬物療法は症状を軽減するのに役立ちます。
抗下痢薬は通常、急性下痢の短期間の管理に使用されます。
解熱鎮痛薬は発熱や腹痛の症状を和らげるのに役立ちます。
原因に応じた特定の治療法
感染性下痢の場合、細菌、ウイルス、または寄生虫に対する特定の薬物治療が必要かもしれません。
医師の指導に従って治療を受けることが大切です。
適切な休息と栄養補給
休息と栄養補給は治癒を支援し、症状の回復を早めるのに役立ちます。
下痢の予防法
下痢を予防するには、以下の方法があります。
衛生的な食事と食事摂取
- 食材の適切な調理
食材を適切に調理し、食中毒を予防します。鶏肉や魚をよく加熱することが大切です。 - 清潔な水
飲料水は安全な水源から供給され、ボトル入り水を使用することが望ましいです。 - 生の食材
新鮮な野菜や果物を食べる際によく洗い、食品の保存に注意を払いましょう。
手洗いと感染症予防
- 手洗い
手洗いは下痢の予防に非常に効果的です。
石鹸を使用し、水でしっかりと洗い、特にトイレ後や食事前に行いましょう。
人混みや感染リスクの高い場所では、感染拡散を防ぐために適切な予防策を取りましょう。
抗生物質の適切な使用
抗生物質は細菌感染症にのみ効果的であり、ウイルス感染症には効果がありません。
不適切な抗生物質の使用は、腸内細菌叢に悪影響を及ぼし、逆に下痢の原因となります。
医師の指導に従い、抗生物質を正しく使用しましょう。
健康な生活習慣の維持
十分な睡眠を取り、ストレスを軽減することが消化システムの健康に寄与します。
適度な運動とバランスの取れた食事は免疫力を向上させ、腸の健康を促進します。
どこに行っても一向に良くならない、下痢への対策
つらい下痢に悩まされ、病院やマッサージなど、色んなところに行ってみたものの、なかなか改善しないという人も少なくないかと思います。
このような時は、一度今までと違った方面からのアプローチを検討してみるのも良いかもしれません。
例えば、自律神経症状を得意とする整体院の受診などがあります。
どんな痛み、症状も元を辿れば、自律神経に行き着きます。
自律神経は、生命の中枢でもある脳幹と密接に関係するため、自律神経を整えることは、全身の健康にも大きく繋がります。
また、自律神経を得意とする整体院の多くは、一時的に良くなる対処療法ではなく、根本となる原因を見つけ出し調整を行う、根本療法を取り入れていることが多い傾向です。
こういった異なる角度からのアプローチを行うことで、症状が緩和することもありますので、選択肢の1つとして、ぜひ検討してみてください。
下痢に関する個別相談はLINEから!
一口に「下痢」と言っても、人によって症状は様々で、症状が出るタイミングや頻度、キツさなどは全く異なります。
また、人によって生活習慣が異なる中では、今回の内容を見ただけでは、疑問や不安を抱えられる人もいるかと思います。
そこで、当サイトではLINEにご登録をいただくことで、簡単な健康チェックや情報発信、個別の相談を受け付けています。
サイトの内容を見たけど「疑問や不安がある」「より詳しい話を聞きたい」などの声にもお応えし、患者様の助けとなれるような活動も行っていますので、症状にお困りの際はぜひご活用ください。