乾癬とは
慢性の皮膚の病気で、皮膚に紅斑ができ、次第にその表面がかさぶたで覆われ、フケのようにボロボロと剥がれていく病気です。
これには、いくつかの種類があります。
- 尋常性乾癬
- 関節性乾癬
- 膿疱性乾癬
- 滴状乾癬
- 乾癬性紅皮症
日本の乾癬患者数は、10万人〜20万にほどいると推定されており、その約90%が「尋常性乾癬」に当たります。
乾癬の症状
乾癬の症状は、タイプによって様々ですが、ここでは乾癬の中でも最も一般的な「尋常性乾癬」にフォーカスしてお伝えしていきます。
尋常性乾癬の症状としては…
- 皮膚が炎症を起こして赤くなる紅斑
- 皮膚が盛り上がる浸潤、肥厚
- ②の上にできる、銀白色のフケのようなものができる鱗屑
- ③がポロポロとはがれ落ちる、落屑
これらの症状があります。
ちなみに、この他にも「ケブネル現象」という正常な皮膚を掻いたり、刺激を加えることによって新たな皮疹が現れたり、「アウスピッツ現象」といって鱗屑を無理に剥がすことで点状の出血ができるといった特徴的な症状が見られることもあります。
かゆみの有無
約5〜7割の人にみられます。
かゆみの有無には個人差がありますが、入浴やアルコールの摂取などによって、体が温まることで現れやすくなります。
好発部位
全身のどこにでも現れる可能性がありますが、主には頭部や髪の生え際、膝、肘、腰まわりなどの、こすれる部位に出やすいのが特徴です。
乾癬の原因
原因は、現時点ではまだ完全には解明されていません。
しかし、遺伝的素因と環境因子の相互作用によって、免疫機能に異常が生じ、発症すると考えられています。
遺伝的素因
乾癬を発症しやすいかどうかは、遺伝しやすいと言われています。
つまり、家族内に乾癬を持つ人がいる場合には、確率は高くなります。
とはいえ、日本で行われた調査では、乾癬の家族内発症頻度は4.4%と高確率ではないため、必ずしも発症するとは限りません。
環境因子
人によって何が発症のきっかけとなるかは、症状が出ないことには分かりませんが、遺伝に加え、以下の因子が重なった場合には、症状が発症する可能性があります。
- 食生活・メタボ
乾癬は、メタボとも関連するとされており、高カロリー食は控えた方が良いとされています。 - 季節
乾癬の症状は、紫外線によって改善が見られます。
つまり、紫外線が強くなる夏場は症状が軽くなり、冬は乾燥によって症状が悪化する傾向にあります。 - 感染症
感染症からの発症として、溶連菌への感染後に発症することがあります。
特に、滴状乾癬の発症が見られます。 - 薬剤(乾癬治療以外の薬)
乾癬の治療以外で薬を服用していた場合に、乾癬が発症、悪化するケースもあります。
この場合、皮膚科以外で薬を処方されている事が多いため、乾癬の診断が遅れてしまうことがあります。 - ストレス
特に精神的ストレスは、乾癬症状の発症、悪化に影響を与えます。
乾癬症状が出ると、かゆみや見た目の悪化などによって、さらにストレスを感じるため、悪循環に陥ってしまうこともあります。
免疫の異常
乾癬症状の発症には、免疫の異常が関与していることもわかってきました。
免疫に異常が起こると、本来自分を守るためのものが、逆に自身を攻撃してしまうようになってしまいます。
これによって、皮膚症状や関節症状が引き起こされると考えられています。
乾癬の一般的な治療法
乾癬の治療法は、大きく4つです。
- 外用療法
- 光線療法
- 内服療法
- 生物学的製剤
外用療法
これはいわゆる、ステロイド剤などの塗り薬です。
軽度から中等度の乾癬に適しています。
ただし、ステロイド剤は効果的ではありますが、一時的な効果の場合が多く、やめると再発症、悪化といったことにもなりかねません。
また副作用の懸念もあるため、長期の使用は控えたほうが懸命です。
光線療法
外用療法では不十分な場合に適しています。
ナローバンドUVB療法、エキシマレーザー療法などを使用し、治療を行います。
- ナローバンドUVB療法
最も効果的な光線療法の一つですが、週に2~3回の照射が必要で、長期照射による副作用のリスクがあります。 - エキシマレーザー療法
ナローバンドUVB療法よりも効果が弱いですが、副作用が少ないのが特徴です。
内服療法
中等症から重症の乾癬に適した治療法で、いわゆる飲み薬です。
表皮の異常増殖を抑えたり、過剰な免疫反応を抑える薬や乾癬に関連する炎症性物質の産生を抑える薬などがあります。
外用療法や光線療法では、十分な効果を得られなかった場合に使用し、他の治療法と組み合わせて行う場合もあります。
生物学的製剤
これは、近年に登場した新しい治療法で重症患者に適しています。
免疫異常を引き起こすサイトカインの働きを抑えることを目的としており、他の治療法で効果が不十分だった場合に用いられます。
効果的な治療法ではありますが、デメリットもあります。
免疫を抑えるため、感染症にかかりやすくなったり、治療を行える場所が限定的、また治療費も高額といった点が挙げられます。
乾癬の予防法
生活習慣の乱れが乾癬の発症や悪化に関係していることから、生活習慣を改善してくことが乾癬の予防において最も重要です。
嗜好品を控える
タバコやお酒などの嗜好品はなるべく控えるようにしましょう。
乾癬患者は、そうでない方と比べて喫煙率が高く、重症患者に関しては、軽症患者に比べて喫煙が多い傾向にあります。
つまり、発症因子だけでなく悪化因子にもなり得るということです。
メタボ改善
乾癬はメタボリックシンドロームとも関連するとされており、乾癬患者は一般的にBMIが高い傾向にあります。
メタボを合併すると、症状が重症化することも報告されているため、食事の管理は非常に重要です。
適度な運動
メタボ予防の観点おいても、運動は重要です。
適度な運動は、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった病気の予防にもなりますので、定期的に行うようにしましょう。
刺激の少ない服装
衣服のこすれによって皮膚へ刺激が入り、症状が悪化するケースもあります。
なるべく柔らかくて刺激の少なく、締付けの少ない衣服を選ぶようにしましょう。
また、乾癬は日光に当たることで改善するとされていますので、適度に日光に当たることも心がけましょう。
ぬるま湯で入浴
入浴の際は、お湯が熱すぎると皮膚に刺激が入ってしまうため、ぬるま湯に設定し、症状がある部分はこすりすぎないように注意しましょう。
また、シャンプーや石鹸の使いすぎは、症状の悪化に繋がりますので、2〜3日に1回程度のペースにし、基本的には、シャワーによるお湯で汚れを落とすようにしましょう。
その他
- ストレスを避ける
- 乾燥を避ける
- 感染症に注意する
- かゆみのケア
上記のことに注意して乾癬の発症や悪化を抑えるようにしていきましょう。
原因不明や治療後にも残る乾癬への対策
症状が起きた際には、病院での治療を優先しましょう。
症状がなかなか改善しない場合や、後遺症が残ってしまった場合などには、病院での定期的な診察を受診しつつ、一度今までと違った方面からのアプローチを検討してみるのも良いかもしれません。
例えば、自律神経症状を得意とする整体院の受診などがあります。
どんな痛み、症状も元を辿れば、自律神経に行き着きます。
自律神経は、生命の中枢でもある脳幹と密接に関係するため、自律神経を整えることは、全身の健康にも大きく繋がります。
また、自律神経を得意とする整体院の多くは、一時的に良くなる対処療法ではなく、根本となる原因を見つけ出し調整を行う、根本療法を取り入れていることが多い傾向です。
こういった異なる角度からのアプローチを行うことで、症状が緩和することもありますので、選択肢の1つとして、ぜひ検討してみてください。
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